ストーンローゼズの「セカンド・カミング」から駄作とは何か考える

Level:⭐️⭐️⭐️
スポンサーリンク
スポンサーリンク

キャリアと共に変化するバンドの音楽性

人気バンドの新譜が出る際に、多くのリスナーが期待するのは既存曲の延長線上の新曲なのではないだろうか。

だが、その一方で多くのバンドが製作過程で思うことは「一度やったことを繰り返したくない」ということだと言われている。

これはクイーンの伝記的映画「ボヘミアンラプソディ」でも語られていた。既存の「キラークイーン」のような新曲を期待するプロデューサーに対して新曲「ボヘミアンラプソディ」を叩きつけ「なんだこれは!」と言わんばかりに非難されていた。

私個人の意見としては既存曲の延長線上の新曲も期待したいが、それと同じくらいバンドの音楽性がどう変化していくのか、そのバンドのキャリアと共に追っていくのも大好きだ。

しかし音楽性の変化がリスナーの期待に反いたからなのか、方向性を変えた新譜が不人気でセールス的には失敗作に終わった。という事例がいくつか存在する。

だが一方でキャリアの中で目まぐるしく音楽性が変化するにも関わらず、それをリスナーが受け入れている事例も多くある。

これらの違いは何なのか考えてみたい。

失敗例;音楽性の変化を認めてもらえなかったバンド達

  • The Stone Roses ストーン・ローゼズ
  • The Rolling Stones ローリング・ストーンズ

The Stone Roses

The Stone Roses
引用;https://rockinon.com/artist/1660

一番、有名なのがストーンローゼズの”Second Coming”(セカンドカミング)ではないでしょうか。

”マッドチェスター”という音楽ムーブメントを牽引し、大ヒットした前作”The Stone Roses”は発売当初から現代に至るまで直接的にまたは間接的に世界中のインディーロック系アーティスト(音楽ジャンルとしてのインディーロック)に影響を与えてきたといっても過言では無い、ロックの歴史のマスターピースであると思う。

私個人としても前作”The Stone Roses”はとてもお気に入りで何度繰り返し聴いたかわかりません。

引用;https://nme-jp.com/blogs/20039/

収録されてる”I Wanna Be Adored”を初めて聴いた時の衝撃やCDで頭から聴いた時の捨て曲の無さ、全曲が同じ世界観を共有しながらも個性を感じました。

そして私の買ったCDだけ何故か中盤の曲”Elephant Stone”がカットされたバージョンでこのアルバムに”Elephant Stone”が入っていることを知るのは随分後のことだった。

話は逸れましたがアルバム”The Stone Roses”にはたくさん思い出があり、それによりストーンローゼズというバンドが大好きになった。2016年の武道館来日にも行った。

つまり私は後追いの世代でありながらもファーストアルバムから入り、次のセカンドアルバムにはどんな曲が入ってるのだろうと期待を胸に聴いた。

最初に聴いたのは”Love Spreads”という曲でパワフルなリフが特徴の曲だった。

思ってたの違う。。ちょっとビックリした。そこで私はファーストの曲みたいな新しい曲が聴きたいというの自分のストーンローゼズに対する期待だったのだと気づきました。

これなら大好きなファーストを何回も聴けばいっか。という風に思ってしまい、ストーンローゼズが大好きと語っておきながら、現在に至るまで、セカンドカミングは殆ど聴いてません。

一人のファンの正直な思いとしては前作が偉大すぎて、音楽性が変化した次作を受け入れられなかった。そんな経験をしました。

ですが、このセカンドカミングは名曲揃いの名盤であるという評判も多くある。

最終的には個人個人の感想になるが、もしかするとこのセカンドカミングは別のバンドがリリースしていたら名盤として評価されていた可能性もあるのかもしれない。

また後追いの世代ならではですが私はこのアルバムを聴く前から「セカンドカミングは駄作である」といった話を書籍やネットでいくつも見てきました。

私自身、この固定観念を初めて聴く前に植え付けられてしまったが為にセカンドカミングはあまり好きじゃないと感じてしまったのではないかと自分を疑っています。

いずれにせよ、今後の人生のどこかで一度セカンドカミングと向き合わないといけない。

セールス面でセカンドカミングが失敗したことの原因はおそらく複数考えられるが、自身の経験も踏まえて、一つには「偉大すぎる過去の成功と同じものを常に要求するリスナーの期待に反したから」である。という仮説を投げたい。

Second Coming
引用;https://www.amazon.co.jp/Second-Coming-Stone-Roses/dp/B000000OT7

The Rolling Stones

セールス的にコケたのはこのアルバム”Their Satanic Majesties Request”(サタニックマジェスティーズ)

Their Satanic Majesties Request
引用;https://www.universal-music.co.jp/rolling-stones/products/uicy-93793/


このアルバムのリリースの半年ほど前にビートルズがサイケデリックロックの名盤”Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band”(サージェントペパーズロンリーハーツクラブバンド)をリリースするなど、当時の流行りはサイケデリックロックであった。

Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band
引用;https://www.universal-music.co.jp/the-beatles/products/tocp-51118/

そしてローリングストーンズもその路線に舵を切り、サタニックマジェスティーズは生まれた。

だかリリース当初から酷評を受け、サージェントペパーズの二番煎じと揶揄された。

確かにアルバムのジャケも少し似ている。

私個人は文句なしのお気に入りのアルバムであり、サイケデリックロックの名盤の一つとして紹介出来るくるいの出来だと思っている。

さらに現在は結構名盤なのではないかと言った声もあるそうだ。

ローリングストーンズはキャリアの初めの頃からブルース直系のロック(表現が不正確かもしれない)を奏できたが、サタニックマジェスティー期には音楽性がサイケデリックロックに変わった。

だが次作”Beggars Banquet“(ベガーズバンケット)からは以前の通りブルース直系ロックの大枠に戻り、このアルバムはセールス的に成功を収めた。

そしてベガーズバンケット以降、大枠としてブルース直系ロックからは逸れずにいくつもヒット作を作り続けている。

やはりここでも、ローリングストーンズがリスナーの期待に反いた為、評価されなかった可能性があるのではないだろうか。

または、サタニックマジェスティーは駄作では無いが、当時のサイケシーンの優れた名盤達(特にサージェントペパーズ)に勝るものでは無かったから、相対的に駄作とされたのではないかとも考えられる。

もしサタニックマジェスティーが大きく評価されていればローリングストーンズはサイケバンドになっていたかも?

次回;音楽性の変化が認められたバンド達

次回は成功例としてRadioheadとArctic Monkeysに着目して分析していきます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました