「ビートルズは世界で最も凄いバンドである」というのは世界の共通認識であると思う。
ジミヘンやマイケル・ジャクソンなど優れたミュージシャンは挙げればキリがないが絶対的頂点にいるのがビートルズである。
これはローリング・ストーン誌など数多くの批評のすえ、「世界で最も優れたバンド」のランキング1位であり続けている事からも疑いようが無いだろう。
筆者も大いに賛成であるが、だからこそ敢えて「本当に凄いのか?」という懐疑的な目線で見る事で新たな発見があるのでは無いかと思い、この挑戦をしてみる。
ビートルズが評価される理由
ローリングストーン誌を始めとした様々なアーティスト、名盤ランキングで上位を独占するビートルズは20世紀、21世紀で最も優れたバンド、音楽家とされているだろう。
ここで改めてビートルズはなぜ優れているのか?そして本当に優れているのか?を考察していきたい。
楽曲が優れている
この点は疑いようがない事実だ。
“I want to hold your hand”のようなキャッチーで歌いやすい曲から”I am the walrus”のような難解な味わい深い曲まで多彩な音楽性を持っている。
後世の音楽に多大な影響を与えているから
様々な評論筋で高い評価を得ている理由はここにあるのではないかと私は推測している。
「良い曲」という価値基準は主観的なものでビートルズの活躍以降も「良い曲」はたくさん生まれているから。
ビートルズは当初ブルースやロックンロールのカバーから始まったバンドであるもののキャリアの中で独自のまだ世の中に存在しなかったサウンド、世界観、テーマ、技法を持った楽曲を幾つも世に放ってきた。
それはメタルの原型となっと言われるハードな楽曲”Helter skelter”であったり、サージェントペパーズが世界初のコンセプトアルバムだったりなど例を挙げるとキリがない。
さらに1945年の終戦後、世界中の文化交流が活発になり始めたことにより、ある音楽が初めて世界中でヒットした。
それがビートルズであり、その初期性故に世界中を通して音楽のスタンダードとなったのではないだろうか。だから後世の音楽に多大な影響を与えているといえるのだ。
そこがビートルズの優れている点だ。
もしもビートルズが存在しなかったら
「ビートルズがいなくなった世界」というテーマの映画が数年前にあったが、もし本当に40年代にビートルズのメンバーが生まれていなかったら、現在までの音楽シーンはどうなっていたのだろうか。
もしかすると彼らのやってきた功績は同時代の他のミュージシャンが行っていたかもしれない。その場合、ビートルズは果たして優れた音楽グループであると言えるのだろうか?考察してみる。
ブルースを昇華させロックンロールへ
これは当時のビートルズ以外のバンドもやっていた事だから彼らが居なくてもこのムーブメントは存在しただろう。
ローリングストーンズが代わりを十分になってくれる。
ヘルタースケルターが無くてもヘビィメタルは誕生していたか
こちらもビートルズが存在しなくても別の担い手がいたと思う。
ビートルズの活動後に生まれたハードロック、特にブラックサバスがメタルの祖を担ってくれると思う。
もちろん彼らは多少なりともビートルズ影響は受けているだろうが彼らの独自性だけでヘビィなサウンドは生み出せたのではないだろうか。
サイケデリックロックは存在していたか?
ビートルズはキャリアの中でサイケデリックロックというジャンルに大きく貢献している。アルバムで言うと主にリボルバー、サージェントペパーズ期だ。
この名盤の存在からも明らかなようにビートルズはサイケデリックロックに多大な貢献をしている。
だが彼らが存在してなくてもサイケデリックロックが存在しなかったということはないのかもしれない。
世界初のサイケデリックロックの曲はアメリカのバンド、バーズが1966年3月にリリースした「霧の8マイル」という曲だと言われている。
その後、同年8月にビートルズはリボルバーをリリースしているが世界初のサイケミュージックでは無い。
またサイケデリックロックが生まれた要因であるサイケデリックムーブメントがアメリカ発であることからもサイケデリックロックはビートルズがゼロから作り出した物ではないと言えるだろう。
従ってビートルズが存在していなくてもサイケデリックロックは存在していたと考えられる。
コンセプトアルバムは存在していたか?
通説では世界初のコンセプトアルバムはビートルズのサージェントペパーズであると言われている。
だが無名なだけでサージェント・ペパーズ以前もコンセプトアルバムは存在していたそうだ。だから正確には世界初ではない。
しかしコンセプトアルバムの概念を世界に知らしめて同時代のバンドにその存在を印象づけたのはサージェント・ペパーズで間違いないように思える。
その証拠に数年後にリリースされるピンクフロイドの狂気やロックオペラと呼ばれるザ・フーのトミーなど当時、全盛期のバンドたちも、こぞってコンセプトアルバムを制作した。
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サージェント・ペパーズがなければおよそ現在の形の狂気やトミーは存在していなかったかもしれない。
もしそうであるならばビートルズの功績は大きいと言えよう。
OASISは存在していたか?
ビートルズの活躍から数十年後の90年代、彼らから多大な影響を受けたことを公言する世界的ビッグバンド、オアシスが音楽シーンで活躍する。
その影響のされ方は彼らのライブ中にビートルズのカバーを披露するほどだ。
またここでの詳しいエピソードの言及は避けるが以下のrockin’onとNMEの記事など参考になるだろう。
これらのことからビートルズがいなければオアシスは存在しなかったとまではいかないが今とは違う形になっていたのではないだろうか。
まとめ:ビートルズは凄いのか?
「ビートルズがいなかったら現在の音楽がどうなってたか」なんて結局は想像の域を超えない。
だからビートルズがどれくらい凄いのか、凄くないのかということもはっきりとは分からない。
ただ結果的に様々な面で後世に影響を与えたのは圧倒的事実としてある。その事実が存在しなかった場合に代わりの存在が代替としてあったのかは予想の範疇を超えないということだ。
私は上記で述べてきたようにビートルズ替えがきかない唯一無二であることを証明することで客観的にビートルズの凄さを証明できると思っている。
しかしその挑戦は驚くほど困難な道であった。あるのはビートルズの活躍後の音楽の歴史という事実だけで、どれもビートルズの影響を孕んでいそうだがその確実性は不明という結果に終わってしまった。
そして今回は厳しく考察を行ったため観点を総評すると、「ビートルズの代わりはいたのではないか?」「ビートルズは存在価値を揺るがすほどの影響は後世に与えていないのでは?」という結論になってしまった。
それでも私は諦めずに「ビートルズの凄さ」の証明を様々な観点から続けていきたい。
たとえ90%の証明ができなくても60%の証明が複数の観点からできれば、ビートルズを客観的根拠から凄いと証明できると信じている。
今後も新たな観点が見つかり次第この記事をアップデートしていこうと思う。
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