サマソニ2022での来日も果たしたThe 1975が新曲「Happiness」をリリースした。
本記事では新曲「Happiness」とThe 1975のこれまでの楽曲との関連性を考察している。
The 1975がこれまでに世に放ってきた代表曲と、新曲「Happiness」の共通点とは何か。
Happinessについて
The 1975が2022年10月リリース予定のアルバムから新曲「Happiness」を発表した。
「Happiness」の大きな特徴は、
過去の代表曲と“共通のサウンド”を持つことだ。
昨今のThe 1975の楽曲制作に対するアプローチを見ていると常に新しいサウンドを模索している様に見えたが、
その一方「Happiness」に関しては“キャリア初期の集大成”の様な楽曲であり、驚かされた。
The 1975の代表曲
The 1975は今までに4枚のアルバムをリリースし、
2022年10月には5枚目のアルバム『Being Funny in a Foreign Language』のリリースも予告されている。
そんなThe 1975のキャリアにおけるアルバム毎の代表曲を振り返り、
「Happiness」の共通点を模索していく。
代表曲:ファーストアルバム
ファーストアルバム『The 1975』からは「Girls」を取り上げる。
この「Girls」における歯切れの良いギターのサウンドは
「Happiness」にも通じるものがあると感じた。
両曲ともギタリストのアダムらしいギタープレイが顕著に見られる。
代表曲:セカンドアルバム
The 1975のセカンドアルバム『I Like It When You Sleep, for You Are So Beautiful Yet So Unaware of It』からは「The Sound」を取り上げる。
「The Sound」はミドルテンポのダンスナンバーであり、この点が「Happiness」にも引き継がれている。
またこの“踊れるシンセポップ感”はセカンドアルバム全体を通して色濃く現れており、
他にも「Love Me」や「UGH!」とも共通のサウンドがあるように感じる。
代表曲:サードアルバム
The 1975のサードアルバム『A Brief Inquiry into Online Relationships』においては、
直接的に新曲「Happiness」とリンクする楽曲は無かった。
収録されている代表曲としては「Give Yourself A Try」や「Love It If We Made It」、「It’s Not Living (If It’s Not With You)」であるが、
どれも「Happiness」との共通点を見出すのは難しい。
「Give Yourself A Try」はダンサブルだが、ミニマルテクノ風で「Happiness」とは異なる作風であるし、
「Love It If We Made It」の持つシリアスで重厚なボーカルがあるわけでもない。
良い意味で「Happiness」はもっとライトな曲だ。
また温かみのある「It’s Not Living (If It’s Not With You)」に対して
「Happiness」はもっとクールなサウンドだ。
よって、「Happiness」はサードアルバム期の作風からは遠い存在であると結論付けた。
代表曲:4thアルバム
The 1975の4thアルバム『Notes on a Conditional Form』の作風からも「Happiness」との共通点を探るのは困難であった。
代表曲「People」はインダストリアルな楽曲で「Happiness」とは似ても似つかない。
「If You’re Too Shy (Let Me Know)」の雰囲気とも違うように感じた。
まとめ:The 1975のこれから
The 1975の新曲「Happiness」はファーストアルバムとセカンドアルバムに近い作風である事が分かった。
もっと言えばギターなどのバンドサウンドを軸に奏でられるシンセポップの時代に回帰したと言える。
確かにサードアルバムと4thアルバムはバンドサウンドから遠かった様に思える。
もちろん全曲では無いが。
そしてThe 1975の活動初期はノリの良さという面でのキャッチーさが大きな魅力であったと思う。
そして後期の2作ではそこを離れ、
新たなサウンドを模索していた時期と言えるだろう。
そんな音楽的な変遷を経て最新曲「Happiness」では活動初期の頃に回帰したのだ。
このアプローチに対するThe 1975のバンドとしての心境を知りたいところである。
また、同じアルバムに収録予定の「Part Of The Band」は今までに見られなかった、
フォーク的なアプローチをしており、その点は「Happiness」と反するように思える。
常に進化を続けるThe 1975というバンドは、時に難解なアプローチをしつつも、
その土台にはポップな作風のキャリアが確かにあり、
必ずしもその頃を捨て去る事がバンドとしての進むべき道ではないと考えているのかもしれない。
そう考えると次作5thアルバムは全体を通してどのような作品に仕上がるのか
予想がつかないところがあり、楽しみである。
また、同じく新曲「Part Of The Band」を通して、
The 1975の音楽性の変遷を考察した記事が以下である。
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