バンド紹介–Black midiから見る現代のロックシーン

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2021年 最注目バンド

2019年にファースト・アルバム”Schlagenheim”をリリースし脚光を浴びた。

つい最近、頭角を見せ始めたばかりの20代のメンバーから構成される文字通りの若手バンドである。

しかし名門レーベル”Rough Trade”ラフ・トレードと契約している世界が認める実力を持ったバンドだ。

そんな彼らの注目すべき点はその音楽性だ。

世界中の音楽ファンが認め、虜になっているサウンドはどのようなものなのだろうか。

音楽性は一言で言うならばジャンルレス。様々な音楽のエッセンスが盛り込まれており、どんなジャンルで括ることも出来ない。

それ故、後期ビートルズの様な「実験性に富んだバンド」と言ったほうがイメージが付きやすいだろうか。

そして朗読のようなボーカルも合わさり、ポスト・ロック的な雰囲気もあると思う。

また複雑な曲展開はプログレッシブ・ロックのようだ。

といっても彼らは「奇を衒ったことをしてやろう」というよりは純粋に「新しいサウンドを追求した結果」が音楽性に現れているのかと思う。

いずれにせよ、理解しにくい音楽が嫌われ、「ロックは死んだ」と言われている時代が終わり、新たに「ロックが異形の形で蘇る」新時代の幕開けが訪れているのではないかと彼らを見ているとドキドキする!

Black midi 最初に聴くなら

Black midi”というバンドの異質さを感じられる最新の一曲と複雑に奏でられる魅力的なスタジオセッションを紹介する。

John L

ブラックミディのトリッキーなサウンドを一番体感できるのは、この曲”John L”だろう。

MVの通り、部族の儀式の様なサウンドだ。

耳に残るはリフがギターではなく管楽器のブラスサウンドであり、そして多彩な曲展開はプログレを想起させる

そして曲のテンポが上がったと思いきや突如、静寂が訪れたりと好き放題の実験的サウンドだ。

そして特徴的なのがその中で「曲全体のリズムとズレているパート」があることだ。ここがとてもミソである。

かつてレッド・ツェッペリンのジョン・ボーナムが行ったように意図的にドラムの拍数をずらし、フレーズが何周かした後に他の楽器の演奏に合流するといった「理論的なズレ」を行うアーティストはいたが、ブラックミディの場合、複雑な曲展開故に「演奏技術が足りずにズレてしまっている」ように聴こえるのだ。

そしてズレているのはリズムだけでなく、まるで「鍵盤の上をネコが歩いてしまったような」曲調のズレたピアノのフレーズがあったりもする。

これはとても画期的で究極の実験性と言えるかもしれない。

そしてそれがどこまで意図的なのか分からないが、少なくとも戦後以降から続く音楽の根本ルールに逆らう驚きの手法だ。

このような今までになかったサウンドを更に追求しようという精神性、2020年代のロックとはプログレッシブ・ロックリバイバルなのかもしれない。

ライブパフォーマンスも見応えあり

ビジュアル無しで純粋に耳だけで彼らのサウンドを聴いていると「どうやって演奏してるの?」と気になってしまう。

そんな時にオススメなのがこの”KEXP”でのスタジオセッションだ。

メンバー間での息を合わせた複雑な演奏、その空気感を直に感じられ、なんだか見ているこちらまで集中してしまう。

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