アルバム解説-Tourist History-Two Door Cinema Club

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2010年代ロックのマスターピース

ここ数十年はロックというかバンドサウンドの音楽はメジャーなものでは無くなってしまった。

そんな時代の中で、生まれたこのアルバムは正統なインディーロックを継承しつつも現代的でダンサブルなノリの良いドラムビートで構成されている。

そしてどの曲も盛り上がるサビが用意されてるので洋楽聴いたこと無い人も気に入ってくれると思う。

そして印象的な猫のアルバムジャケットも特徴だ。

Cigarettes in the Theatre

街の雑踏から始まり、けたたましいイントロに繋がるこの曲は「映画を楽しもう!タバコなんて吸ってる場合じゃない」みたいな曲。

バンドメンバーは映画が好きで”to door cinema”「映画館のドアへ」という意味を文字って”two door cinema”「映画館の2枚ドア」というバンド名にしたと聞いた事がある。

デビューアルバムの一曲目を映画をテーマにした曲にするくらいだから、よほど映画愛が伝わってくる。

Look past the blinding light

過ぎていく眩しい光を注視しよう

Come Back Home

歌詞は抽象的。おそらく「周りに左右されずに自身で生きる道を切り開け」みたいなメッセージだと思う。ギターとボーカルによる伸びやかなサビがこの曲の特徴だ。

そしてミドルテンポだが曲中でノレる部分が効果的に現れるのが魅力だ。

Won’t you come back home

ホームに戻らないかい? ※ここでのホームは家ではなくもっと抽象的な物を指すと思われる。

Undercover Martyn

他の曲と同様、ダンサブルな曲であるが、それに加え耳に残るギターリフがこの曲の醍醐味である。

そして歌詞はストーリー性のあるものだ。

あるミッションを遂行中の仲間が基地の仲間達に救援を求める。

そして帰還不能になった仲間何らかの理由で隠れているから見つけて助け出すぞ!という世界観。

これが何のメタファーなのかは、人それぞれ解釈して楽しむのが良いだろう。

また「帰還不能になった仲間」がマーティンであるのかは言及されていない。

そして「敵がいるから気をつけろ!」とかでは無く「サプライズが待ってるよ」というあたりが解釈の幅を持たせてくる。

You hid there last time, you know we’re gonna find you

そこに隠れてるんだろう、私たちが助けに行くのは分かってるな

Do You Want It All ?

静かなダンサブルを見せてくれるのがこの曲だ。

全体的に無駄が省かれたしっとりした雰囲気の曲構成だが、その中でもドラムは心臓の音を刻むかのようにビートをキープし続ける。

そして最後には「待ってました」と言わんばかりにビートを爆発させて踊らせてくれる。

歌詞はまた、よく分からない。

do you want it all? because you want be all

全てが欲しいのかい? それは君自身が全てになりたいから

This Is the Life

歌詞はほとんど”This Is the Life”の繰り返し。

「正しい物事を当たり前とすること」や「新しい事に挑戦」など人生において普通の事かもしれないが「それは誰かが言っていたのか?」という内容。

この精神性はアルバムの二曲目”Come Back Home”にも通じるものがある。

突き抜けるようなリバーブ感のあるギターサウンドが聴きどころの曲だ。

This is life, then who’d argue?

これが人生、しかし誰がそう言った?

Something Good Can Work

今までの曲ではドラムがノリが良いと語ってきたが、この曲でリズミカルなのはメロディの部分だ。

特に以下のサビのフレーズは早口言葉のような、おまじないのような語感だ。

「自分に役に立つものを見つけよう」という不思議なちょっとコミカルにも聴こえる歌だ。

Let’s make this happen, girl, you gonna show the world that something good can work and it can work for you.

行動に移そう、自分にとって何が役立つのかを世界に見せてやるんだ。

I Can Talk

アルバムも後半に差し掛かるここでアタック感強めのダンサブルナンバー。

激しくブラッシングされたギターが鳴らす音を背景にドラムがビートを刻み、その上をベースが転がっている。

サビの最高潮へ向けてヴァースが盛り上がっていく曲構成は我々、日本人好みのそれだ。

歌詞「新事実を見つけたから、今から教えてやるよ」といった内容。

また「白衣」「賢い頭脳」などのワードから研究者が研究の末に見つけた大発見の様に取ることも出来る。

Now, I can talk, no one gets off

今から話すから、全員聞けよ

What You Know

ここでアルバムはクライマックスを迎える。

ドラム、ギターリフ、ボーカルが絡み合う疾走感のある曲だが歌詞は「恋人との関係性が終わりを迎える」という内容に取れる。

それは最初のヴァースよりも2回目のヴァースでより具体的に分かる。

そしてサビの「君は一人ぼっちになりたくないのは分かるけど何を考えてるかまでは分からない」というフレーズが誰しも経験した事があるリアルな感情を思い出させてくる。

Two Door Cinema Clubは曲によって、抽象的でふわっとした歌詞が多い印象だが、決めるときは決める感じ。特にこの歌詞は魅力的だ。

そして哀愁漂う失恋ソングなどではなく、歌詞にもあるように終わるものは終わって「新たな始まりを迎える」というニュアンスはサウンド面から伝わってくる。

You don’t want to be alone

君は一人になりたくないのだろう

Eat That Up, It’s Good For You

このアルバムの主軸にあったダンサブルは身を潜める。

そしてバンドは私たちに明るくポップなだけじゃないことを見せつけてくる。

この曲はポップだがどこか物悲しげである。そしてそれを歌詞だけでなくサウンド面でも表現していることがこの曲の素晴らしい点だ。

曲を聴くと「塞ぎ込んだ感情が最後の大サビで溢れ出す」様に感じた。

そして歌詞をよく聴くとやはりそんな歌詞に思えてくる。「今は落ち込んでてもまた次があるから」と言い聞かせる歌詞である。

そしてこの世界観は”What You Know”で「振られた側が友達に慰められてる」様に私は想像した。

そして大サビのとこで慰められてた側が「あの人は特別だった!」と言わんばかりに感情的になるのだ。

過大解釈かもしれないが味わい深い歌詞だと思う。

it’s too late, you’ve got another one coming and it’s gonna be the same

もう遅いよ、そろそろ新しい出会いがあるから、前みたいになれるよ

You Are Not Stubborn

”What You Know”から続く物語の完結。

関係が終わったカップルは「僕が間違っていた」と歩み寄って和解するのだ。

でもこれからも良い関係でいるために「今は少し距離を置こう」という歌詞。

サウンドは敢えて飾りすぎないような印象を受け、それがエンドロール感と一見、暗い雰囲気だった物語をコミカルに終わらせてくれる役に立っている。

そしてリアリティのあるハッピーエンドだから、なんか感情移入出来る。

I was wrong, I take it back

僕が間違っていた、元に戻りたい

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