本記事ではアシッドハウスというジャンルの確立に大きく貢献した、Trax Recordsというレーベルと、そこからリリースされた名盤たちを紹介していく。
アシッドハウスを理解するのに最適なレコードを5枚チョイスした。
またアシッドハウスのサウンドの源であるTB-303というベースマシンについても解説していく。
Trax Recordsとは
Trax Recordsはハウスという電子音楽の黎明期である1980年代初頭に設立される。
場所はアメリカのシカゴであった事から、後にシカゴ・ハウスというジャンルの一部を担うことにもなる。
設立に携わった人物は以下の通り。
- ラリー・シャーマン
- スクリーミン・レイチェル
- ジェシー・サンダース
- ヴィンス・ローレンス
Trax Recordsはシカゴ・ハウスの名の下、数多くのハウス・レコードをリリースしてきたが、1987年にレーベルに所属するPhutureというDJグループが発表した「Acid Tracks」という楽曲は当時としては画期的なサウンドであり、その曲名を元にアシッドハウスという言葉が生まれる。
アシッドハウスとは
アシッドハウスは先にも述べた様にPhutureの「Acid Tracks」という楽曲が言葉の起源と言われている。
アシッドハウスのサウンドは「ウニョウニョした音」と言われることが多い。
これは楽器としてTB-303というベースマシンが使用されているところに由来する。
TB-303は発売当初、ベースギターの代用として自動でベースラインを弾いてくれる機械として発売された。
しかし結果としてギターなどのバンドサウンドには全く馴染まず、全く売れない楽器であったそうだ。
その一方、ハウス界隈でPhutureを中心としたDJ達が自身の音楽制作にTB-303を実験的に取り入れるようになり、その界隈ではクールなサウンドと見なされた。
その独特な音がアシッド=LSDのような中毒性があると話題になったのだ。
そしてPhutureによる世界初のアシッドハウスのレコードの発売に至るのである。
アシッドハウスの名盤
ここからはTrax Recordsからリリースされたアシッドハウスの名盤を紹介していく。
これさえ聴けばアシッドハウスとは何かを理解できる選曲を行ったつもりだ。
Phuture – Acid Trax
まずは先ほどから何度も紹介しているPhutureの「Acid Trax」から。
この曲の「ウニョウニョ」がアシッドハウスという歴史の始まりなのだから、必聴としてオススメしたい。
Frankie Knuckles – Bad Boy
Frankie KnucklesはTrax Recordsに所属していたDJの中で最も有名かもしれない。
彼のディスコグラフィーの中では「Your Love」や「The Whistle Song」の方が人気であるが、よりアシッドハウスらしい「Bad Boy」という曲をチョイスした。
「ウニョウニョ」のサウンドとボーカルがマッチしているのが魅力的だ。
Mr Fingers – Can You Feel It
Mr Fingersの「Can You Feel It」は先程までに紹介した2曲に比べて「ウニョウニョ感」は控えめのTB-303の音を聴くことができる。
アシッドハウスは「ウニョウニョ」サウンドだけでない事をこの曲が教えてくれる。
Adonis – No Way Back
Adonisの「No Way Back」という曲はTB-303を使い倒し、ほぼこれだけで製作されたような楽曲だ。
その為、アシッドハウスを構成する様々な音色を一度に味わえるような曲だと思う。
Dancer – Stars on Number Nine
Dancerの楽曲「Stars on Number Nine」でTB-303は癖は表に出さず、あくまで太いベースサウンドとして扱われている。
また、この曲の面白いところは様々な楽曲からのサンプリングが行われている点だ。
曲名にもあり、曲中で何度もリフレインされる“Number Nine”というフレーズはビートルズの楽曲「Revolution 9」のサンプリングだと思われ、曲の後半ではマイケル・ジャクソンの「Bad」のサビがサンプリングされている。
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