Radiohead(レディオヘッド)といえば、良さが分からない、難解と良く言われている。
その一方、Radiohead(レディオヘッド)の作品群は各種メディアで高い評価を得ているのは事実であり、良さの理解が望まれるバンドであるだろう。
今回のランキングはRadiohead(レディオヘッド)の入門的な意味で「聴きやすさ」=「良さの理解しやすさ」を観点として9つのアルバムの順位づけを行う。
9位:Kid A
9位は4thアルバム「Kid A」だ。
「聴きやすさ」という意味では納得の最下位だ。
アルバム「Kid A」は20世紀の問題作と言われるほどの存在であり、その理解へ向けて音楽マニアは苦労するものである。
以下のような解説書が発行されるほどだ。
そして「Kid A」の完成度の高さは辛口で知られるPitchforkで満点の10点を取るほどだ。
よって「Kid Aの良さをわかる人が本当の音楽通」みたいな雰囲気がある。
そんなアルバムがレディオヘッドの最も難解なアルバムである事は間違い無いだろう。
ちなみに良さを理解するには「ロックとしてでは無く、ジャズとして聞くと良い」なんて話を聞いた事があるがよく分からない。。
そして収録楽曲”Everything in Its Right Place”は宇宙のようなサウンドだったりする。
とにかく難解というか味わい深いアルバムだ。
8位:Amnesiac(アムニージアック)
8位には「Amnesiac(アムニージアック)」をチョイスした。
「Amnesiac(アムニージアック)」はKid Aの兄弟アルバムとも言われており、当初は同作の一枚になる可能性もあったと言われている。
だからアルバムの音楽性は近い。
ただ、”Pyramid Song”のピアノの美しさだったり、”I Might Be Wrong”のグルービーなベースだったりは「Kid A」の楽曲達よりは分かりやすい気がするので8位とした。
7位:The King Of Limbs
7位に選んだのは「The King Of Limbs」。
アルバム「The King Of Limbs」の音楽性は一言で言うなら「アンビエント×ミニマルテクノ」だと思う。
とっつきにくい物の掛け合わせであるが楽曲”Lotus Flower”などの持つ、テクノというか電子音楽的な要素はリズミカルで聴き心地が良いかもしれない。
6位:A Moon Shaped Pool
2016年リリースの「A Moon Shaped Pool」を6位とした。
本作は現在のところのレディオヘッド最新作であり、キャリアの中で彼らの通ってきた様々な音楽的要素が入っているように感じる。
それは”Daydreaming”のアンビエント感であったり、ストリングス主体の”Burn The Witch”、そして過去に一度捨てたバンドサウンドの要素も全てを使いこなして的確に音色として配置しているように思う。
要するに「A Moon Shaped Pool」はレディオヘッドのキャリアを総括していると感じる。
つまり本記事のテーマである「聴きやすい→難解」の架け橋となるアルバムだろう。
是非、聴きにくいレディオヘッドへの入り口としてほしい。
5位:OK COMPUTER(OK コンピューター)
5位は「OK COMPUTER」とした。
各種メディアでの評価は「Kid A」の次に高いアルバムである。
本作はバンドが初めてバンドサウンドに縛られずに、実験的精神を持って作られたアルバムである。
そのためサウンドに残るバンド的な要素が幾らか聴きやすさを保証してくれるだろう。
だが最初は”Paranoid Android”のような楽曲の奇妙さ、不気味さに驚くかもしれない。
そんなキャリア3作目の「OK COMPUTER」はオルタナバンドから羽化して間もない状態のレディオヘッドを味わうことが出来る。
4位:Hail To the Thief
「Hail To the Thief」はレディオヘッドの6thアルバムである。
このアルバムの興味深い点は「Kid A」、「Amnesiac(アムニージアック)」以降にリリースされた作品にも関わらず、ギターなどのバンドサウンドに回帰している点だ。
もちろん回帰と言っても活動初期のオルタナ・サウンド剥き出しではなく、「これまでのキャリアを経て様々なサウンドを追求した結果、再びギターを手に取った」というイメージだ。
だからバンド・サウンドであるからの聴きやすさと、それと同時に「音楽全体で見た時の難しさ」はあると思う。
あくまで「自分達のやりたい音楽のために楽器を使っているだけ」感というか、「曲全体で見た時の本質的な良さは?」と聞かれると、4位とは言え難解なアルバムである。
もちろん、そんな難しい事考えずに楽しめば良いと思う。
”2 + 2 = 5”という楽曲名からして難解な曲だってあるのだから。最初は何となくで聴くべきだ。
3位:In Rainbows(イン・レインボウズ)
3位にチョイスしたのは「In Rainbows(イン・レインボウズ)」。
こちらのアルバムどちらかと言えばバンドサウンド捉えることができるだろう。
だがそれ以上にインディーロック的な文脈で捉える方が聴きやすいかもしれない。
決して盛り上がる、テンションの上がるようなアルバムではないが、楽曲の美しさを感じやすいと思う。
その点で「良さが分かりやすい」アルバムとしてお勧めしたい。
収録曲”Bodysnatchers”は太く歪んだギターリフの激しさを静寂に押し込んだような曲だ。
2位:The Bends(ザ・ベンズ)
2位はセカンド・アルバム「The Bends(ザ・ベンズ)」である。
説明が後になってしまったがレディオヘッドはデビュー当初は90sオルタナティヴ・ロックの直球を行くような音楽性のバンドであった。
その頃の2作目がこの「The Bends(ザ・ベンズ)」だ。
ただ聴きやすいと言ってもレディオヘッドの独特な世界観はこの頃から感じ取れる。
その独特さは例えば”High and Dry”歌詞などに現れているが、それも活動後期のものよりは理解しやすい。
よってレディオヘッドというバンドの魅力を総括して感じやすいのが「The Bends(ザ・ベンズ)」である。
1位:Pablo Honey(パブロ・ハニー)
レディオヘッドのキャリアの中で最も聴きやすいアルバムは「Pablo Honey(パブロ・ハニー)」である。
本作は「The Bends(ザ・ベンズ)」より先にリリースされたファースト・アルバムであるが、「The Bends(ザ・ベンズ)」に近い音楽性を持ちながらも、こちらの方がパワフルなオルタナティブ・ロックだ。
そしてレディオヘッドというバンドは悪く言えば常に「陰鬱さ」が歌詞からも曲調からも漂うバンドであるが、「Pablo Honey(パブロ・ハニー)」はその陰鬱さが最も薄い。
その2点から、このアルバムを「最も聴きやすい」と判断した。
また、現在のレディオヘッドの音楽的な世界観から遠過ぎるためか、メンバーは本作を気に入っていないそうだ。
”Creep”という楽曲はレディオヘッドのキャリアで最も有名であるが作詞者トム・ヨークをはじめ、メンバーは嫌悪しているとの噂もある。
そんなところから本作は「レディオヘッドの音楽的良さの理解」に歩み寄る存在では無いかもしれない。
そうだとしてもレディオヘッドと向き合う入り口になればと思う。
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