多様な音楽性を誇るアクモンを理解する最短ロードマップ!
Arctic Monkeys(アークティック・モンキーズ)というバンドは洋楽ロックの入門的存在だと思う。
彼らの独特なスピード感のあるダンサブルなバンドサウンドは、そのパワーに圧倒されるが、その一方、ダサいなんて言われたりもする。
だが前提として今のような話はキャリア初期のアクモンしか見ていない発言だと思う。
本記事ではアクモンのキャリア全体を総括して、バンドの魅力を再確認していく。
Arctic Monkeys(アークティック・モンキーズ)とは
日本では略してアクモンと呼ばれる”Arctic Monkeys”(アークティック・モンキーズ)はフロントマン、アレックス・ターナーを中心として結成されたイギリス出身の四人組バンドである。
そしてアクモンの音楽性やそのジャンルは一言では説明しづらい。
なぜなら彼らの音楽性はバンドのキャリアとともに変化し続けているからだ。
キャリアとともに変化する音楽性については以下の記事で考察しているので深く知りたい方はそちらも読んでほしい。
そして今回はそんな多彩な音楽性を誇る彼らのディスコグラフィーの概要を最短で追えるロードマップを用意した。
この記事さえ読めば”Arctic Monkeys”がどんなバンドかわかるはず!
ガレージロック期
この時期は1番とっつきやすい音楽性の時期と言えるだろう。
アルバムとしては1stから2ndの時期の音楽性である。
- 1st Whatever People Say I Am, That’s What I’m Not
- 2nd Favourite Worst Nightmare
この時期、アクモンが奏でていたのはガレージロックに分類されるようなジャンルだ。
そしてただのガレージロックではなく、彼ら独自の疾走感あふれるビートやギターリフが刷り込まれているのが大きな特徴だ。
これにより彼らは今までに誰も鳴らしてこなかった独自の「アクモンサウンド」を作り上げ、ただガレージバンドの枠には収まらない存在となった。
またこの独自性が悪くいうとワンパターンとも言えるサウンドであり、しばしばダサいなんて言われることがあるが筆者は「ノリの良さ」だけに全振りしたようなこのサウンドはある種の発明だと思っている。
そして洋楽ロックの入門としてもピッタリのアクモン。その際はこのガレージロック期から聴いてほしい。万人が好きになれるロックサウンドだ。
以下に1stと2ndから一曲ずつチョイスしておすすめ曲を貼っておく。
インディーロック期
3rdアルバムからアクモンが持つ独自の音楽性は増していき、更にガレージサウンドは身を潜め始める。
次のアルバムの時期の音楽性を無理やり一括で表現するなら「インディーロック」となるだろう。
- 3rd Humbug
- 4th Suck It and See
アルバム”Humbug”では前作までのガレージ感を残しながらも「疾走感あふれる明るいロック」というよりは「しっとり目のインディーロック」に傾倒してきた。
そしてその音楽性はアルバム”Suck It and See”で大成した。
「リバーブの掛かったメロディアスで伸びのあるボーカル」が特徴の収録曲”She’s Thunderstorms”を聴けば納得すると思う。
アクモンは極上のインディー・ロックを作り上げた。
実験的サウンド期
この頃から”Arctic Monkeys”は2000年代ロックの王者と呼ばれるようになってきた。
それほどの称号が十分ふさわしい多様な音楽性と風格を持っている。
この時期に該当するのが次の2つのアルバムだ。
- 5th AM
- 6th Tranquility Base Hotel & Casino
まず”AM”期。このアルバムはバンドサウンドをベースとしながらも、ガレージにもインディーにも当てはまらない音楽性だ。
曲調はスローながらもシンプルなビートと力強いリフで構成されている。
多彩なサウンドを求め、またこれまでのアルバムでそれらを表現してきたゆえの「無駄を削ぎ落としてミニマルに制作された」といった感じである。
そのため「静かなのにパワフル」といった印象を私は受けた。
そしてその精神性は”Tranquility Base Hotel & Casino”でさらに色濃く現れてくる。
全曲、ピアノで作曲されたこのアルバムはアークティック・モンキーズの音楽性に深みを出し、まるで劇伴音楽のような世界観を楽しむことが出来る。
収録曲”Four Out Of Five”のMVもスタンリー・キューブリックの「シャイニング」をオマージュしたものとなっており、まさに映画のような世界観だ。
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