Oasis(オアシス)のファーストアルバム”Definitely Maybe
今回紹介するのはオアシスのファーストアルバム”Definitely Maybe”。
オアシスのキャリアにおいて傑作と言われているのは本作の次にリリースされた”(What’s The Story) Morning Glory?”である。
だがそこに繋がる本作もとても魅力的だ。
なんと言っても「オアシス伝説」の始まりを感じさせてくれる。
そして強気な事にその一曲目が「俺はロックンロールスターだ!」という曲だ。常人なら思い付いても避けるのでは無いだろうか笑
オアシスはその称号に恥じないロックの王者として君臨し後世への影響を与え続けている。
Rock ‘n’ Roll Star
冒頭にも触れた「俺はロックンロールスターだ!」という曲である。
よくそんな事言う度胸あるなって感じだ。もう既にギャラガー兄弟の強気な姿勢が感じられる。
曲を作った兄ノエルとそれを歌う弟リアムのどちらにも相応しい楽曲だ。
だが野心的な彼らが歌ってる反面、曲からは「純粋なロックンロールスター」への憧れを感じさせてくれる。そういった意味で美しい楽曲だと思う。
プライベートでは誰かを「こき下ろす」彼らも曲内では純粋に自分たちの思いを歌ってるのが魅力的だ。
そしてシンプルすぎると言っても過言ではないサビの”Tonight, I’mRock ‘n’ Roll Star”というフレーズに全てが詰まっている。
Tonight, I’mRock ‘n’ Roll Star
今夜、俺がロックンロールスターだ
Shakermaker
ボヤッとした音像は90’sの解釈をされたサイケとも言えるかもしれない。
そして歌詞も的を得ない空想の物語風だが、所々は作曲者のノエルの経験をモチーフにしてる様にも感じる。
歌詞には登場人物として”Mr. Soft”や”Mr. Clean”などが出てくるがこの言葉遊びの雰囲気は彼らが敬愛するビートルズの作詞にインスパイアされているのでは無いかと思う。
Shake along with me
一緒にシェイクしよう
Live Forever
「永遠に生きる」というこちらも直球なテーマだ。
美しいコード進行とその音色に加えて歌声が「力強く生き抜く意思」の様なものを感じさせる。
でも一人では無くて「君と一緒に生きていきたい」という、直接的では無いがラブソングとも取れるかもしれない。
そしてこの天国の様なサウンドスケープはギターソロで更に大きく拡張される。
You and I are gonna live forever
君と僕は永遠に生きるんだ
Up in the Sky
特徴的なリフと「俺と同じ高いとこまで上り詰めてこいよ!」というメッセージ。
この精神性は一曲目の”Rock ‘n’ Roll Star”にも通じるような強気な「オレ様」的なものに感じる。
こんな一見、小恥ずかしいこと堂々とやってこなすのが彼らの魅力だろう。
誰にでも出来る事ではない。
How does it feel when you’re inside me?
俺と同じとこにたどり着いた君はどんな気分だい?
Columbia
歌詞の語感が気持ち良い楽曲だ。
そして曲名のコロンビアについては具体的に言及されることは無く「過去に居た場所は今いるここでは無い」という歌詞の過去、もしくは現在の場所に相当するのかどうなのだろうか。
There we were now here we are
あそこに俺らはいた。そして今、俺らはここにいる。
Supersonic
イントロのドラムとギターのフレーズがとても魅力的だ。
最初から心を鷲掴みにされてしまう。今までの力強いパワフルな魅力とは対照的にクールなカッコ良さがある。
そしてシンプルだが印象的なギターソロで最高に盛り上がる。
歌詞の「自分自身を見失うな」というメッセージもクールだ。
その状態が彼らの言う「スーパーソニック」状態なのだ。
I need to be myself
俺は自分自身にならなくてはいけない
Bring It on Down
最高にのれるアップテンポな楽曲。
私は聴く人を選ばない万人が好む曲だと思うが、ベスト盤に入ることなどは無く、個人的には過小評価されてると思っている。
ボーカルのフレーズとギターフレーズの掛け合いが疾走感を感じさせ、少しクサイ、ギターソロで最高潮に達する。
そして歌詞も「弱者の味方をしてくれる」直球のロックソングとなっている。
I’ll be scraping their lives from the sole of my shoe tonight
あいつらは俺の靴のソールでぶっ潰してやる
Cigarettes & Alcohol
メインのギターリフはT-REXの”Get It On”をオマージュというか大胆に引用したフレーズだ。
そして歌詞は曲名通り「タバコと酒」から連想される怠惰なイメージだ。
モヤモヤと鬱屈した感情を抱えながらも「自分で行動しなきゃダメなんだぜ」といったマイペースながらも前向きな曲だ。
You gotta make it happen
君が事を起こすんだ
Digsy’s Dinner
本作内で珍しいポップな楽曲だ。
ギターは強く歪んでいるものの「中音域で歪ませることで明るい印象にする」という手法をオアシスは良くやる。
その特徴が色濃く出てるのがこの曲だ。
そしてイントロで大きくディレイさせる事で跳ねるような印象も与え、更にキャッチーだ。
また途中で入ってくる鍵盤の音もこの曲の持つ「明るさ」に貢献している。
歌詞は「君と過ごすなんて事ない日常が幸せ」みたいな内容で粗暴なギャラガー兄弟からこんな楽曲が生まれるんだと感心した。
I’ll pick you up at half past three and we’ll have lasagne
3時半に君を迎えにいくからラザニアを食べに行こう
Slide Away
本作の中では珍しい「泣き」の曲だと思う。
今までの歌詞では自己中心的な強気なキャラクターを見せ付けられてきたため、弱みを見せるこの歌詞はとても叙情的だ。
「恋心寄せる人に受け入れてもらえなかった」主人公の哀愁が漂う。
あるいはもっと深読みすると「駆け落ちしてここから逃げ出そう」と言ってる様にも取れる。
これもまたオアシスが見せてくれた新たな一面である。
”Digsy’s Dinner”に続いて、強気なオラオラ系ソングだけじゃないんだぜ!と。
Let me be the one who shines with you and we can slide away
君と輝く唯一の存在にしてくれないか、そして二人ならここからも離れられる
Married with Children
最後を締め括るのはしっとりしたアコースティックナンバー。
子供がいる夫婦の痴話喧嘩のストーリーだ。今は家出してるけど暫くしたら家に戻るからと。
何気ない日常を具体的に切り抜いたエモーショナルな感情にさせられる楽曲である。
そしてアルバムの後半にかけて改めてノエルの作詞作曲のボキャブラリーの広さを見せつけられた。
But I know that I will be right back here with you
でも少ししたら君の元に戻ってくるんだろうと自分でわかる
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